
いま、多くの業界が注目している「サステナブル」というキーワードがあります。サステナブルグッズにサステナブルフードなどさまざまな「サステナブル○○」が登場している中、この記事では“サステナブルファッション”をピックアップ♪
ざっくりいうと、サステナブルファッションとは地球環境や健康にやさしいファッションのこと。中には、テレビや雑誌などで”サステナブルファッション”という言葉を聞いたことがある方もいるのでは?
こちらの記事では、いったいどんなファッションなのかを具体的に解説するとともに、あの有名アパレルブランドが実践しているサステナブルな取り組みから、ぜひ手にとってみたいサステナブルファッションアイテムまで紹介します。
ところで、サステナブルファッションと似た言葉としてエシカルファッションがありますが、両者の違いとはなんなのでしょう?後ほどじっくり解説したいと思います!ぜひ、この記事でサステナブルファッションに詳しくなってくださいね!
人間や社会、そして地球環境の持続可能な発展を意味する「サステナブル」。コンビニやスーパーのレジ袋削減や、コーヒーショップの紙製ストローへの変化など、多くの方にとって「サステナブル」は、身近なものに感じることができるのではないでしょ[…]
サステナブルファッションとは?

まず「サステナブル」とは「持続可能な」という意味の言葉です。具体的には「将来もいまと変わらず続けていくことができる」という意味を表し、これに「ファッション」がくっついたのが今回解説する“サステナブルファッション”の全体像になります。
なんだか小難しく感じるかもしれませんが、このような言葉が生まれた背景にあるのは、地球のさまざまな環境問題です。
地球温暖化に、大気や海洋の汚染問題、森林破壊など、いま地球はさまざまな環境問題に悩まされ、悲鳴をあげています。
暮らしが豊かになった裏側で、着実に蝕まれている地球環境。この状況から抜け出し、自然豊かで美しい地球でいつまでも暮らせるよう、さまざまな産業のあり方を見直すのが“サステナブルな取り組み”です。
今回取り上げるサステナブルファッションは、地球環境や、この地球で生きる生きものたちに配慮した上で展開される衣類のこと。
具体的には、
- 環境に優しい生地や素材、リサイクル素材を使用する
- 動物の皮や毛は使用しない
- 受注生産によって産廃物を減らす
などの取り組みが、サステナブルファッションの考え方に該当します。
エシカルファッションと同じ意味?サステナブルとの微妙な違い
サステナブルファッションと似た言葉としてよく取り上げられるのが、”エシカルファッション”です。
簡単に両者の違いを説明すると、衣類の生産にあたってサステナブルファッションは地球環境や生き物に配慮し、エシカルファッションは人権問題や社会問題に配慮しています。
例えば、生産業における過酷な労働環境や不当な労働条件など、このような問題を減らすために取り組みを行い、その上で生産されているのがエシカルファッションです。
このように分類できるサステナブルファッションとエシカルファッションですが、世の中のため、地球のためという考え方をしている点では深い繋がりがあるのも事実。厳密には違うけれど、両方ともとても大切な取り組みだと覚えておいてくださいね。
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サステナブルな素材・生地
サステナブルファッションを語る上でまず押さえておきたいのが、生産される衣類に使われる素材や生地へのこだわり。どういった視点で選ばれているのか、素材にどんな特徴があるのかを知っておきましょう。
- オーガニックコットン
農薬や化学肥料を使用せず、地球環境や人々の健康への負荷を最小限に抑えるよう配慮して育てられたコットンです。生産には国による厳しい基準が設けられ、これをクリアしたコットンだけがオーガニックコットンの認定を受けられます。 - 麻(リネンなど)
麻は“捨てるところがない”といわれる素材で、衣類に使われる繊維のほか、種や根まで余すことなくさまざまな産業に活用されています。また、生育時には多くのCO2を吸収し、さらに自然の雨や日光だけで育つほど丈夫な植物です。 - リサイクル繊維
ペットボトルを原料にしたリサイクルポリエステルや、裁縫工場で出たコットンの端材を集めて活用するリサイクルコットンなど。本来廃棄するものを有効活用することでごみを減らせます。品質は従来のポリエステルやコットンと遜色ありません。 - 再生セルロース繊維(レーヨンなど)
木材チップやパルプ、コットンなど自然由来の素材を繊維化し、糸状に加工したものです。天然素材が原料なので焼却しても有害物質がほとんど出ず、仮に土に埋めても微生物に分解され、いずれ自然に還ります。 - アニマルフリー素材
動物の皮や毛、羽毛など、あらゆる生き物の素材を使っていない素材のこと。レザーの製品やリアルファーを生産するために育てられる動物たちを減らし、地球に生きるすべての生き物に優しい環境を目指すための取り組みです。 - 生分解性繊維
おもにトウモロコシのでんぷんに含まれるポリ乳酸を原料にした素材です。植物由来なので焼却時に排出されるCO2が少なく、また原料のトウモロコシが育つ中でも大気中のCO2が吸収されることから、サステナブルな素材として扱われます。
アパレル・ファッション業界のサステナブルな取り組み
地球環境や人々の健康を守ることに繋がるサステナブルファッションは、さまざまなアパレルブランドや、ファッションに携わる企業にとっても注目のキーワードです。
続いては、世界中で数多くのアパレル・ファッション業界が行っているサステナブルな取り組みを紹介します。
リサイクル素材の使用
近ごろはファストファッションの登場で衣類がお手頃価格になり、その生産量も2000年と比べてほぼ2倍になったというデータがあります。
これは裏を返すと、気軽に新しいものを買い、古いものは捨てられるようになったということ。埋め立てや焼却処分される衣類も昔に比べてぐっと増えているのです。
また、洋服を作るのには大量の水が必要です。使用する染料は、種類によっては海や川を汚す原因にもなり得ます。このような問題を解決に導くべく、リサイクル素材を積極的に活用し、環境への影響を最小限に抑える取り組みをするファッション業界は少なくありません。
オーガニックコットンなどの天然素材の使用
天然素材の使用も環境に優しい取り組みのひとつ。自然由来の素材は焼却しても大気を汚染する物質が出にくく、また埋め立ればいずれ土に還っていきます。
加えて、農薬や化学薬品を使用せずに作られるオーガニックコットンなどの素材は人体に優しく、その衣類を身につける人も安心して毎日を送ることができるのです。
生産する衣類を素材から見直すことで、サステナブルファッションを叶える企業やブランドもたくさんあります。
フェアトレードの実施
フェアトレードとは経済面や社会面、そして環境面にも配慮し、生産者とトレーダー(輸入組織・製造組織・卸組織)の公正(フェア)な取引を叶える取り組みです。
各面の具体的な取り組み内容としては、
- 経済面:長期的な取引の促進や最低価格の保証
- 社会面:過酷な労働や差別の禁止による民主的な運営の実現
- 環境面:農薬・化学薬品の使用削減や有機栽培の推奨
など。働く人たちにも地球の環境にも考慮しながら、サステナブルな社会を目指しています。
リユース商品の販売
不要になった衣類を回収し、素材や繊維として利用するリユース商品の販売に取り組むアパレル企業も。たとえばジーンズはたった1本生産するのに約7,600リットルもの水を使用するといわれていますが、回収したジーンズをリペアし、リユース商品としてまた販売すれば水の使用量を大幅に削減することが可能に。
繊維の使用量の削減から節水まで叶うリユース商品は、サステナブルの実現に大きく貢献することでしょう。
予約販売や受注生産の導入
「必要なものを、必要なだけ」という考え方は、無駄を減らすためにとても重要です。洋服や下着も、たくさん生産しても売れなかった分は余ってしまいます。
売れ残りによる廃棄処分を減らすためには、予約販売や受注生産を導入し、“いま、世間に必要とされているだけの衣類”を生産するのも選択肢のひとつ。サステナブルの視点で考えれば、これからの時代、大量生産・低コストのスタンスは変えていくべきかもしれませんね。
ファーフリー宣言
いま、ファーフリー宣言をするファッションブランドが増えてきています。ファーフリーとは、動物の毛皮を使ったリアルファーを使わない取り組みです。
高級感があり肌触りもいいといわれるリアルファーですが、その裏では動物が犠牲になっているのも事実。有名どころではヴィヴィアン・ウエストウッド、プラダ、カルバン・クライン、コーチ、グッチなどほかにも数多くのブランドがファーフリー宣言をし、毛皮の使用禁止を宣言しました。
過剰包装の廃止
ネットで商品を買ったら、箱の中にたくさんの緩衝材が詰められて、お目当ての商品は真ん中にぽつん…。そんな経験はありませんか?
過剰包装をすると無駄なごみが出ます。緩衝材に使われる発泡スチロールやビニールは、いま問題となっている海洋プラスチックごみの原因にもなる存在です。
過剰包装をやめ、包装をシンプルにすることは、ごみの削減や環境保全に繋がることをわたしたち消費者も知るべきでしょう。
日本で買える!サステナブルなファッションブランドと注目のアイテム
続いてはわたしたちにとって身近な日本のファッションブランドやアパレル企業を取り上げ、そのサステナブルな取り組みをご紹介。日本で手に入るサステナブルファッションアイテムも合わせて紹介します。
各ブランドのInstagramアカウントも添えておきますので、ぜひご覧くださいね♪
ユニクロ(UNIQLO)
ユニクロは服のリサイクル、リユースの取り組みに力を入れている企業のひとつです。不要になったユニクロやGUの洋服を店舗備え付けのボックスで回収し、リユースの場合は仕分けしてから支援衣類として世界各国に届け、リサイクルの場合は加工して新たな衣類へと再生しています。
2021年3月には、ユニクロが実施している「ユニクロダウンリサイクル」の活動によって16万着ものダウンが集まったとの報告も。現在はリサイクルに向けて加工が進められ、2021年の秋冬商品として生まれ変わる準備をしているそうです♪
ユニクロのサステナブルなアイテム「リサイクル ダウンジャケット」

photo by uniqlo.com
商品名 | リサイクル ダウンジャケット |
サステナブルなポイント | ・回収されたダウンジャケットを原料に、リサイクルダウンとフェザー100%を用いて作られたアイテム。 ・着心地がよく、暖かい。ダウンなのに手洗いOK。 ・ゆくゆくはこのダウンをまた回収し、リサイクルできる。 |
価格 | 7,990円(税込) |
コス(COS)
コスでは、オーガニック素材の使用や、サステナブルな方法で調達された材料の使用を年々増加させています。リサイクルコットンやウールの活用、端切れの回収・加工を通じて、限りある資源を無駄なく使う取り組みにも力を入れているブランドです。
2025年までには、100%リサイクル可能なパッケージの導入を目指しているのだそう。
コスのサステナブルなアイテム「ストレート ルーズジーンズ」

photo by cosstores.com
商品名 | ストレート ルーズジーンズ |
サステナブルなポイント | ・リサイクルコットン100%で作られたジーンズ ・ゆったりと履けるのに、スタイルアップ効果も得られるフルレングス。 |
価格 | 12,500円(税込) |
プール(POOL)
プールは、無印良品を展開する株式会社良品計画の子会社、IDEEが取り組むプロジェクトの名称です。
正式名称は「POOL ためてつなげるものづくり」で、無印良品での商品生産の過程で出た端切れや端材を活用し、ワンピースやスカート、エプロンなどさまざまな衣類を生み出しています。
グループの中で協力し、素材を無駄なく使い切る取り組みをしているわけですね。
プールのサステナブルなアイテム「ギャザーワンピース」

photo by idee-online.com
商品名 | ギャザーワンピース |
サステナブルなポイント | ・商品生産の過程で出た生地や織物を有効利用し、生み出されたワンピース ・天然素材ならではの着心地のよさがポイント。 ・脚長効果が期待できるハイウエスト。 |
価格 | 13,200円(税込) |
POOL いろいろの服 ギャザーワンピース マスタード 2021SS | IDEE SHOP Online
アシュハリ(ashuhari)
持続可能な素材を中心に使用し、商品生産に取り組むアシュハリ。「捨てられない服づくり」を目指して、1着1着丁寧に作られた衣類を展開しています。
「エシカル・サステナブル・スロー・ファッション」を掲げ、洋服の再利用や余分なごみを出さない取り組みも実践し、ファッションを通じて“地球にやさしい価値観”を広めています。
アシュハリのサステナブルなアイテム「band collar tuck shirt」

photo by ashuhari.shop
商品名 | band collar tuck shirt |
サステナブルなポイント | ・小ロット手作業生産で丁寧に作られた自然な風合い溢れる1着。 ・アースカラー調のコットン100%を使用した生地で、ナチュラルな印象に。 ・土に還る天然素材のボタンを使用。 |
価格 | 15,180円(税込) |
band collar tuck shirt | ashuhari
プリスティン(PRESTINE)
オーガニックコットンブランドとして商品展開を行うプリスティンでは、操業から20年以上にわたりオーガニックコットンを使い続けています。
オーガニックコットンの使用は、環境にも人にも、生産者にも幸せをもたらすもの。メイドインジャパン製法にこだわり、児童労働の撤廃や予防に取り組む活動も行いながら、サステナブルな社会作りに貢献している企業です。
プリスティンのサステナブルなアイテム「オールオーガニック ブラ&ショーツセット / オーガニックコットン」

photo by pristine.jp
商品名 | オールオーガニック ブラ&ショーツセット / オーガニックコットン |
サステナブルなポイント | ・生地はもちろん、裁縫糸にも100%オーガニックコットンを使ったこだわりのアイテム。 ・天然素材なので敏感肌の人にもおすすめ。 ・ノンワイヤーで締め付けが少なく、ふわふわな優しいつけ心地。 |
価格 | 13,090円(税込) |
オールオーガニック ブラ&ショーツセット / オーガニックコットン | PRISTINE(プリスティン)公式通販
サステナブルファッションで地球にも自分にも優しく
サステナブルファッションと一口に言っても、できることはさまざま。オーガニック素材の使用から、リサイクル・リユースの取り組み、生産者を思いやる活動まで、いまたくさんのファッションブランドやアパレル企業にサステナブルな考え方が浸透し始めています。
服を着ることは、わたしたちの生活基盤である「衣・食・住」のひとつ。毎日衣類を身につけるわたしたちも、洋服を大切に着たり、不要になったものはリサイクルしたりしながら、サステナブルな行動を取ることができます。
毎日おしゃれを楽しみながら、地球にも自分にも優しくなれるサステナブルファッション。ぜひ今日から意識してみませんか?
最近、ファッション雑誌やテレビ、SNSなどでよく耳にする「サステナブル」という言葉。なんとなく地球環境のこと…とわかっているつもりでも、詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。難しい言葉のように聞こえますが、実は[…]