SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

持続可能な開発目標を意味するSDGs。持続可能でよりよい社会を実現するために必要な達成すべき17のゴールと169のターゲットがまとめられたもので、全世界において2030年までの達成が目標です。

今回はこのSDGsの17のゴールのうち、目標7の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」にフォーカスをあててお話をしたいと思います。

今深刻な問題にもなっている世界のエネルギー問題の現状と、それを解決するために私たちが出来ることをまとめていきます。

目次

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは?

テレビやパソコン、エアコンのような電化製品からお風呂や自動車と調理器具といった生活必需品ともいえるものなど、私たちの生活を支える電力やガスなどのエネルギー。

現代日本に暮らす私たちにとって、これらを欠いた生活というのはもう想像し難いものになっています。しかし、これらは「お金さえ払っていれば未来永劫使用できる」というものではなくなってきています。

SDGs目標7は必ずやってくるエネルギー問題を解決させるための目標

いずれ必ずやってくるであろうエネルギー問題は、必ず解決をしなければいけません。そのために、SDGsの目標には、これらのエネルギーをクリーンで持続可能なものにしていくための目標があります。それがSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」です。

限りある資源であるエネルギーを、どのように「みんなに」分配していくのか、そもそも「クリーン」なエネルギーとはどのようなものを指しているのでしょうか。

詳しく解説していきます。

SDGs目標7のターゲットを分かりやすく解説!

SDGs目標7のターゲットにはどのようなものがあるのでしょうか。SDGsのターゲットは、7.1、7.2といったような数字のナンバリングが振られた「2030年までに達成すべきゴール」と、7.a、7.bといったようにアルファベット順に設定された「達成のための具体的な手法」で構成されています。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲットは以下の通りです。

項目内容
7.12030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.22030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.32030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

掲載元:7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

常日頃ニュースなどでも取りだたされている通り、今現在世界は深刻なエネルギー問題に直面しています。

SDGs目標7ではこれらの問題を解決すべく、現在使用しているエネルギーそのものを見直し「良質で地球にやさしいエネルギーを、安価に取得できるようにする」ことを大きなテーマとして掲げています。

そのためには膨大なインフラ整備やテクノロジーの充足が必要であり、安価で安全なエネルギーが取得できるようになれば、最終的には電気を使用することができていない発展途上国への供給などが必要だということです。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が必要な理由と現状の課題

先ほど軽く触れさせていただいた通り、世界は今深刻なエネルギー不足に直面しています。テクノロジーが発展することにより、多くのことが人の手を離れ自動化をされて便利になってきています。

しかし、モノを動かすためには必ず「エネルギー」が必要です。人の世は、便利になればなるほど膨大なエネルギーを必要としなければいけないというジレンマを抱えています。

さらに、問題は「エネルギーが枯渇する」という側面だけに限ったことではありません。例えば、使用するエネルギーを取得することによって起きる地球環境へのダメージへの配慮。これもまた、SDGsのテーマである「持続可能な社会の実現」においては無視することができません。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とはすなわち、今人類が必要としているエネルギーを「より地球にやさしい方法で」取得し、これらのエネルギーを「世界中皆で分け合って使える方法」を探すことを意味しているのです。

8.4億人もの人が電気を自由に使えない

私たち日本人は、毎日当たり前のように電気を使っています。朝起きれば空調を付け、テレビをみながら朝食を食べ、スマートフォンを見ながら仕事や学校に行っています。仕事や学校でも電気を使う機会はたくさんあります。夜はお風呂に入り、部屋に電気をつけ、スマートフォンを充電しながら眠りにつく、という生活を送っていることでしょう。

ですが、このような暮らしは世界中どこでも送れているわけではありません。事実、世界では約8.4億人もの人が「電気をつかえない生活」を強いられているのです。

薪や炭の利用により環境汚染や健康被害にも

電気を使えない地域に暮らす人々は、料理や暖を取るのにも薪や炭を使用しています。火を恒常的に使用することで空気が汚れ、健康を損なう原因にもなりかねません。このような生活をしている人は世界で30億人といわれています。

電気を使えない貧しい地域の人々は、夜に明かりを使うことができません。夜に明かりを使えないと仕事や勉強を行うことができず、結果教育レベルの向上が見込めないという結果を生みます。それは、最終的には地域全体の発展度合いにも大きくかかわってきてしまうのです。

事実、途上国では明かりを使えないため、外灯の灯りで勉強をしなければならない地域も存在しているため、SDGs目標7の達成は不可欠です。

温暖化を引き起こす温室効果ガス

地球の表面は窒素や酸素などの大気に覆われていますが、これらは太陽光の熱を吸収し地球の表面を温める効果があり、これを「温室効果」と言います。

この温室効果があるおかげで地球は人間にとって住みやすい気温に保たれているのですが、産業革命以降、人類の排出する二酸化炭素の量が爆発的に増加し、産業革命以前と比べると大気中の二酸化炭素の量は約40%も増えています。

二酸化炭素の増加による温度上昇

大気中に含まれる二酸化炭素の割合は0.4%ほどと少ないのですが、そもそも二酸化炭素は「温室効果が非常に高い」という特性があります。つまり、大気中の二酸化炭素が増加することによって温室効果が高まり、地球表面の平均温度が上昇するという現象が起きるのです。これが最近問題になっている「地球温暖化」です。

地球温暖化による影響は多大です。氷河が溶けることで海水面が上昇し、水没する地域が生まれます。地球の平均気温が上昇することで起こる自然災害などの影響もまだ不透明です。

地球温暖化の解決は、SDGs目標7の達成だけでなく、SDGsの「持続可能な社会」において避けることができない問題と言えます。

いま使用している化石エネルギーには限りがあります

私たちが使用するエネルギーは、どこから生まれているのでしょうか。その多くは「化石エネルギー」から取得されています。

化石エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスから得られるエネルギーの総称です。これらは膨大なエネルギーを生む有効なエネルギー源ではありますが、人類が現在のペースで使用しつづけると、なんと100年後には完全に枯渇してしまうという見方もされています。

また、これらの化石エネルギーは地球環境への影響が大きく、持続可能なものではありません。使えば使うほど、地球へのダメージが深刻化していくものなのです。SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の観点では、これらの化石エネルギーからの脱却が早急に必要であるとされています。

SDGs目標7で注目されている「再生可能なクリーンエネルギー」とは?

世界のエネルギーの源となっている化石エネルギーの代替となるものが必要な現在において、先進国で積極的に研究・導入されているのが「再生可能エネルギー」です。

再生可能エネルギーとは、環境負荷が少なく、地球の資源を使用しないエネルギーの取得方法のことを指します。これらの再生可能エネルギーは世界で18.6%を占めますが、この割合を100%に近づける努力が継続して求められます。

再生可能エネルギーには以下のようなものがあります。

  • 水力
    水流の力を利用して発電する方法です。水流で発電機を動かす方法で、発電時に二酸化炭素を発生させず、資源資源を消費しないというメリットがあります。
  • 風力
    風の力をエネルギーに変換する風力発電は、大規模であれば火力発電並みのエネルギー変換効率が見込めるため、世界各国で注目されている再生可能エネルギーのひとつです。風車の高さや羽根によって効率は上下するものの、風さえあれば昼夜を問わず発電が可能なため、今後ますます増加することが期待されています。
  • バイオマス
    木くずや生ごみなどの廃棄物を焼却する際に発生する熱をエネルギーとして使用する発電方法。大気中の二酸化炭素濃度を上昇させないというメリットのある発電方法です。また、焼却の際に発生する排熱は、周辺地域の温水などに再利用できます。
  • 太陽光
    自然を利用したエネルギー確保において最も一般的な方法といえます。パネルにあたる太陽光をエネルギーとして変換する発電方法です。
  • 地熱
    地中深くのマグマの熱を利用してエネルギーを確保する方法。化石エネルギーと異なり、焼却の際の二酸化炭素発生が抑制されるというメリットがある発電方法です。こちらもバイオマス同様、発電の際に生じる熱エネルギーは地域の温水や暖房などに再利用することが可能となっています。

各国で行われているSDGs目標7への取り組み事例

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するために、世界各国で行われている取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。

まずは、使用するエネルギーを根本的に見直すことが挙げられます。現在、世界的にカーボンニュートラル(carbon neutral)という考え方が根付きつつあります。

さまざまな意味を持つカーボンニュートラル!

このカーボンニュートラルとは、本来「植物を燃焼させて二酸化炭素を発生させても、成長過程で二酸化炭素を吸収しているのだから、環境には負荷がない」という考え方です。この「吸収と放出のバランスが取れている」という状態が環境にやさしいという意味合いを持ち、現在では人間活動におけるCO2排出量を相殺するという意味でも使われています。

また、先進国による化石エネルギーに頼らないエネルギー開発も加速度的に進んでいます。現在ではまだ再生可能エネルギーの占める全体の割合は少ないものにとどまっていますが、確実にその活躍の場は拡大をし続けています。

日本の企業によるSDGs目標7への取り組み事例

2030年の目標達成に向け、日本の企業ではどのようなSDGs目標7に対するエネルギー問題解決の活動が行われているのでしょうか。

ここでは、具体的な取り組みをいくつかご紹介していこうと思います。

「パナソニック株式会社」のSDGs目標7への取り組み事例

「パナソニック株式会社」のSDGs目標7への取り組み事例

photo by Panasonic

パナソニック株式会社は皆さんご存じの通り、日本有数の電化製品メーカーです。ブランドスローガンは「A Better Life, A Better World」であるということもあり、積極的にSDGs目標7についても取り組んでいます。

  • 100 THOUSAND SOLAR LANTERNS PROJECT
    無電化地域と呼ばれるエリアに住む人々に対して、教育・医療・経済・安全などの課題解決におけるサポートをしている事業です。2013年から2018年にかけて、10万台以上のソーラーランタンを寄贈しています。
社名(商号)パナソニック株式会社
事業内容電機製品製造等
公式サイトhttps://www.panasonic.com/jp/home.html
本社所在地大阪府門真市大字門真1006番地

「アウディジャパン」のSDGs目標7への取り組み事例

「アウディジャパン」のSDGs目標7への取り組み事例

photo by アウディジャパン

自動車はガソリンなどのエネルギーを使用して走る特性上、SDGs目標7へのかかわりが非常に大きい分野です。

自動車メーカーのアウディでは、電気自動車の普及率を2025年までに40%を達成したいと意欲的に活動しています。

  • 自然電力のでんき
    アウディジャパンでは、自然電力株式会社とタッグを組み、ガソリンに頼らないだけでなく、使用する電気までも自然エネルギーに限定できるサービスを展開しています。アウディのe-tronを購入したオーナーに対し、自宅に「自然電力のでんき」を導入できるというユニークな取り組みをしています。
社名(商号)アウディジャパン株式会社
事業内容自動車製造・販売
公式サイトhttps://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html
本社所在地東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー16階

「ローカルフードサイクリング株式会社」のSDGs目標7への取り組み事例

「ローカルフードサイクリング株式会社」のSDGs目標7への取り組み事例

photo by 【公式】LFCコンポスト

ローカルフードサイクリング株式会社は、コンポストという生ごみを入れておくとたい肥にできるという商品を扱っている企業です。自らの経験から日本の食糧消費には問題あると感じた代表が作り上げたものです。

  • LFCコンポスト
    コンポストとは、家庭で出た生ごみを入れておくと生ごみを分解してたい肥にしてくれる土のことです。コンポストを使用すると、生ごみを焼却処理する必要がなくなり、二酸化炭素発生の抑止になります。また、自宅でコンポストを使用することでできたたい肥を農家などに寄付し、自然な農作物を育てていく力にもなります。
社名(商号)ローカルフードサイクリング株式会社
事業内容コンポストの製造・販売
公式サイトhttps://lfc-compost.jp/
本社所在地福岡県福岡市東区香住ヶ丘6丁目12番3号

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に対して私たちができること

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するために、私たちはどのようなアクションをすべきなのでしょうか。

SDGsの目標はどれも世界レベルで達成すべきゴールが示されているものです。そのため、私たちが暮らす国を超えてエネルギー問題について意識をしなければいけないということも、難しく感じてしまうポイントではあります。

ですが、難しく考える必要はありません。誰もが今よりほんの少しだけでも構わないので、地球のことを、世界のことを考えて行動するだけでも、未来をより良い方向に変えていくことができます。

そのために、ここでは「今からでもできるSDGsなアクション」をいくつかご紹介させてください。

電力消費の少なく省エネ家電をおうちに!

省エネという言葉を知らない人は、今やほとんどいないのではないでしょうか。それほどまでに「エコな家電」は市民権を得ています。

例えば、冷蔵庫。少ない消費電力で効率的に食材を保管してくれるようになっていますし、家のライトをLEDに変えるだけでも消費電力は変わってきます。このような省エネ機能を搭載した家電はたくさん発売されています。

さらにもっと大きなところで言えば、自動車を電気自動車に変えるといった行動もSDGs目標7の達成に非常に有効です。

このように、私たちが日々使う家電などを省エネ家電にすることは「最も簡単にできるエコなアクション」と言えるでしょう。

自宅の電気を再生エネルギーに!

日本では現在「電気の自由化」が取り入れられています。

これは、自分が使用する電気をどこかから買うか選べるというシステムなのですが、皆さんは何をもって電力会社を選んでいますか?料金?それともサービスでしょうか。

本日SDGs目標7のことを知ったあなたは、ぜひ「再生可能エネルギーを採用している電力会社」と契約することを検討してみてください。

先にも述べた「化石エネルギー」によって生まれたエネルギーは、地球の資源を少しづつ消費し、持続可能な社会の実現に影響のある仕組みになってしまっています。

さらに、日本においては家庭で発生する二酸化炭素排出量のうち、その半分が電化製品のためのエネルギーによるものです。

これらを再生可能エネルギーで賄うことは、SDGs目標7の達成に非常に有効と言えます。

生ごみをたい肥に有効活用!「コンポスト」を生活に取り入れる

ローカルフードサイクリング株式会社の個所でもご紹介した「コンポスト」を家庭で活用することも有効なSDGs目標7を達成するための活動になり得ます。

家庭で発生する生ごみの多くは水分を含んでいることがほとんだと思います。これらをゴミ処理場などで焼却処理するとなると、多くの燃料が必要になります。

反面、コンポストは生ごみを自動で分解し、たい肥にしてくれる優れものです。今まで焼却処理することが当たり前だった生ごみが野菜などを育てるたい肥になれば、まさに一石二鳥と言えるでしょう。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は優先度の高いテーマ

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」についてお話してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。世界をとりまくエネルギーの現状、そして達成すべき未来について理解が得られましたでしょうか。

近い将来、今当たり前のように使用している資源は必ず底をつきます。その時までにこの目標を達成できていなければ、世界は大変なことになってしまいます。だからこそ、このSDGs目標7は、非常に優先順位も緊急度も高い目標と言えるのです。

国家レベルでこれらのエネルギー問題を解決するとこはもちろん大切ですが、忘れてはいけないのが一人ひとりの心がけと行動です。なぜならば、どんなに規模の大きな問題であっても、最終的に地球の資源であるエネルギーを享受しているのは、私であり、あなたであり、そこにいるひとりの人間だからです。

限りある資源を守り、次につながる世代に美しい地球を見せてあげられるよう、皆でできることを行っていきましょう。

ライター:相澤 かづき

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