SDGs目標8「働きがいも経済成長も」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

持続可能な開発目標を意味するSDGs。持続可能でよりよい社会を実現するために必要な達成すべき17のゴールと169のターゲットがまとめられたもので、全世界において2030年までの達成が目標です。

今回はこのSDGsの17のゴールのうち、目標8の「働きがいも経済成長も」にフォーカスをあててお話をしたいと思います。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは?

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」では、世界中すべての人を対象に安定した職業を与え、継続的な経済成長を実現することが最終的なゴールです。

テーマとして「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」という内容で概要がまとめられています。

包摂的ということばが少し難解ですが、「包摂」とはもともと「限定」の反義語のようなものです。仕事のような社会にかかわるシーンで使われる場合は「社会的弱者や学習機会の少ない人を社会的に排除しない社会にしよう」という意味で使われます。

ディーセント・ワークとは「働きがいのある仕事」を意味する言葉です。つまり、勤労する人間が前向きな気持ちで働ける状態を目指しましょうということです。

つまりこのSDGs目標8では「さまざまな境遇にいる人も含め、すべての人間に安定した職業と充実した生活が実現できる社会を作り、かつその社会を維持してさらに経済発展をしていきましょう」ということを目標としているのです。

SDGs目標8のターゲットを分かりやすく解説!

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を達成するために達成すべきターゲットはどのようなものが挙げられるのでしょうか。

目標8では、主に発展途上国の経済成長と勤労状況の改善がポイントとなります。そのため、内容も発展途上国への内容が多くなっています。まずはターゲット一覧をご覧ください。8.1、8.2といった末尾が数字のターゲットが達成すべき内容です。8.a、8.bといったアルファベットの並びが達成のための具体的施策となっています。

項目内容
8.1各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.2高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8.3生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8.42030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8.52030 年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。
8.62020 年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.7強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終わらせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025 年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8.8移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8.92030 年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8.10国内の金融機関の能力を強化し、全ての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
8.a後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8.b2020 年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

掲載元:8.働きがいも経済成長も | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

内容を見ると、経済成長率・経済生産性など、経済発展を目標とした言葉が並んでいます。このようにSDGs目標8においては、経済発展が念頭に置かれているのがよくわかります。

ですが同時に、「環境悪化と分断する」「強制労働を根絶する」といった、仕事環境にかんする内容も書かれています。これが「働きがいも経済成長も」というテーマである所以です。

a.bの具体的手法の部分では後発発展途上国が貿易を行うために必要な支援と、児童労働を禁止するために必要な法整備について述べられています。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」が必要な理由と現状の課題

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」はなぜ必要とされているのでしょうか。その目標は先にも述べた通り、世界中すべての人が望むべき仕事に就き、幸福な生活を手にするためです。

ですが、世の中には残念ながら多くの失業者が存在し、望まない仕事をやらざるを得ない人もたくさんいるのが現状です。

この状態を打破しすべての人が「働き甲斐があり、十分な収入を得ることができる」状態にするのがディーセント・ワークの考え方です。

このディーセント・ワークを実現するために解決すべき課題がSDGs目標8のポイントです。順にみていきましょう。

世界の失業率をまずは知りましょう!

世界の失業者数は今も増え続けているという問題があります。失業率自体は大きく変動はしていないのですが、人口が増加していることもあり、今は世界の失業者数は2億人を突破して増え続けています。

特に深刻なのが若い世代の失業率です。日本でも働き盛りの時期に働くことをあきらめてしまう「ニート」が社会問題となっています。

若者が仕事に対して積極的になれないことで社会に与える影響は多大です。安定した収入を得られず、社会に対してネガティブな感情を持つことは、持続可能な社会づくりにおいて大きな障害となってしまうからです。

これからの世界を作っていく若者が意欲的に働く機会を作り出すことはSDGs目標8にとって非常に大切なことだと言えます。

世界で1億5000万人もの子どもが児童労働を強いられています…

世界では、経済的な理由などで学校に行けず、勉強がしたくても働かなくてはいけない子どもたちがたくさんいます。

15歳未満の義務教育を受けるべき年齢の子どもが、教育が受けられず勤労に従事する状態を「児童労働」と言い、早急に解決すべき問題です。

日本ではあたりまえのように学校に行き、半数以上の人が大学に行きます。しかしこの環境は世界でもトップクラスの高学歴社会の賜物です。事実、世界では今も約1億5000万人もの子供たちが学校に行けず、やむを得ず働いています。

教育を受けずに働いている子どもの多くは、劣悪な環境や安い賃金で働かされています。教育を受けることができなかった子どもは、そのまま成長しても低賃金の職業から抜け出すことができず、将来に大きな問題を抱えたまま大人になってしまうという危険性をはらんでいるのです。

労働者が増え雇用が不足している現状

現在、世界ではアフリカを中心に人口の増加が顕著となっています。その反面、雇用の創出は実現できていません。

雇用の創出が実現できないと、当然仕事に就くことができない人、すなわち失業者がどんどん増えてしまいます。雇用が足りず失業者が増えることは、SDGsの目標にもなっている「貧困をなくそう」といったゴールからも遠ざかります。

貧困を抱えた国では、飢餓問題や移民問題が発生しがちです。このような問題を抱えた国は、経済発展などは期待できず、どんどん国が疲弊してしまいます。

このように、働きたい労働者に対して必要十分な雇用が用意できていない現実は、将来的に多岐にわたる問題を起こしてしまうのです。

女性の方が失業率が高いジェンダー格差問題も

現在日本では女性の社会進出や男女平等という考えが一般化し、男女が平等に仕事を行うことができる環境が整いつつあります。しかし、世界ではまだまだ女性というだけで働く機会を得られないという現象が起きています。

たとえばアフリカのような雇用が慢性的に不足している国や、アラブ諸国の女性などは、男性に比べ2倍の失業確率が高いという「ジェンダー格差」が存在します。

男性・女性に関係なく平等に勤労機会を得るということは、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」において欠かせない要素です。

各国で行われているSDGs目標8への取り組み

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を達成するためには、ディーセントワーク、すなわち「働きがいのある人間らしい仕事」を労働者に提供できる社会づくりが欠かせません。

特に後発発展途上国においては、児童労働や低賃金での労働などが問題になり、子どもに十分な教育を受けさせてあげられないなどの問題も起きています。

そんな問題を是正すべく、国際金融公社(ILO)が行っているベターワークというプログラムでは、工場勤務者の労働環境改善を果たしたという実績が上がっています。

ベターワークでは、工場の衛生状況や安全性、適正な賃金の支払いなどの指導を行っており、このプログラムによって、多くの工場が売り上げの増加や生産力の拡大、雇用者の増加を実現しています。

日本の企業によるSDGs目標8への取り組み事例

日本の企業ではSDGs目標8に対してどのような取り組みを行っているのでしょうか。

日本を代表する大手企業の取り組みを中心にピックアップしてみましょう。

「パソナグループ」のSDGs目標8への取り組み事例

「パソナグループ」のSDGs目標8への取り組み事例

photo by PASONA WORKATION HUB | パソナグループ

日本の人材ビジネスのパイオニア的存在であるパソナグループ。「人を活かす」がモットーの企業であるため、雇用関係の目標であるSDGs目標8への親和性も非常に高い大手企業です。

特に、パソナグループでは人材ビジネスのほかに地方創生をテーマにした取り組みも多く行っています。そんなパソナグループの取り組みを具体的にご紹介いたします。

  • 淡路島に本社機能の一部を移転
    新型コロナウイルス感染拡大によりテレワークが定着したタイミングで、淡路島に本社機能の一部を移転。通勤電車や人ごみから離れて業務を行える環境が整備されました。勤務はカフェや海辺などで行ってもOKという自由さが大きな話題になっています。このワークとバケーションを足して作られた「ワーケーション」という働き方は、地方に新たな雇用を生み、SDGs目標8でも述べられている「働きがい」や「経済成長」に今後大きくかかわっていくと期待されています。
社名(商号)株式会社パソナグループ
事業内容人材派遣等
公式サイトhttps://www.pasonagroup.co.jp/
本社所在地東京都千代田区大手町2-6-2

「日本郵政」のSDGs目標8への取り組み事例

「日本郵政」のSDGs目標8への取り組み事例

photo by ダイバーシティマネジメント‐日本郵政

創業150周年を迎える超老舗の大企業、日本郵政もSDGs目標8の達成に向けて取り組みを行っています。日本全国各地で多数の従業員を抱える日本郵政の取り組みは以下の通りです。

  • ダイバーシティの推進
    ダイバーシティとは、一言でいえば多様性という意味です。現代日本では働く人の働く目的も多様化してきています。日本郵政では働く人がより自分らしく働き、人生を楽しめるようにダイバーシティの推進を行っています。全国13支社にダイバーシティ推進担当を設置し、社員の意識向上や活躍推進、働きやすい職場づくりを推進しています。
社名(商号)日本郵政株式会社
事業内容グループの経営戦略策定
公式サイトhttps://www.japanpost.jp/
本社所在地東京都千代田区大手町二丁目3番1号

「大和ハウス工業」のSDGs目標8への取り組み事例

「大和ハウス工業」のSDGs目標8への取り組み事例

photo by 大和ハウスグループ

日本に最王手のハウスメーカーである大和ハウス。一般居宅から事業用の大型建築まで手掛ける企業ですが、住宅メーカーならではのSDGsへの取り組みをご紹介します。

  • 働くママを応援!業界初のマルチ派遣を導入
    千葉県流山市にて進行中のプロジェクト「DPL流山プロジェクト」という計4棟のマルチテナント型物流施設の3棟目「DPL流山Ⅳ」にて予定されている働き方が注目されています。この施設は複数のテナントが入る巨大な施設なのですが、従業員専用の保育施設やコンビニエンスストアが完備されているほか、複数入るテナントをまたいで派遣で働くことができる仕組みが採用されます。これによって、人材不足が懸念される物流業界の人材不足にメスを入れていきたいという狙いがあります。
社名(商号)大和ハウス工業株式会社
事業内容建築業
公式サイトhttps://www.daiwahouse.com/
本社所在地大阪市北区梅田3丁目3番5号

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」に対して私たちができること

SDGs目標8を実現するために、私たちが出来ることは何なのでしょうか。企業に勤めて働く形が一般的である日本では、個人の努力で改善していくのは難しく感じてしまうかもしれません。

ですが、今まさに世界では働き方という概念時代が大きく動いてきている時代と言えます。大切なことは、気軽に制度を利用することと、選択することです。

ワークライフバランスを見直してみて

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスを取れるように働くことを意味します。人が幸せに生きるためには、仕事ばかりをしていても、仕事をまったくしなくても不健康です。

健康にリスクのある過度な残業は避け、仕事のない日も充実感を持って過ごせる企業で働くことを目指しましょう。

目安としては、仕事は1日8時間。週に40時間を超えないように働くように法定労働時間が定められています。残業も、1日に4時間を超えるような長時間残業は避けましょう。

テレワークやワーケーションは積極的に取り入れましょう!

ここ数年の新型コロナウイルス感染拡大などの事情もあり、世の中ではテレワークがすっかり定着してきました。テレワークは過酷な日本の通勤ラッシュを避けることができる優れた仕組みです。積極的に取り入れ、心身の負担を軽減させましょう。

また、パソナグループの部分でもご紹介したワーケーションを利用するのもおすすめです。

福利厚生を利用して心身ともに健康に!

多くの会社には、従業員に利益の還元をしたいという目的で、福利厚生が定められています。その内容はさまざまですが、どれも従業員のリフレッシュを目的としたものばかりですので、積極的に利用をしましょう。

福利厚生を利用することで、心身も健康になり、会社への貢献度も上がります。貢献度が上がればモチベーションや業績も上がり、働きがいも経済成長も実現することができるかもしれません。

働きがいや経済成長は「幸せな人生」の第一歩

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」についてまとめてきました。いかがでしたでしょうか。

人生をより楽しく生きるためには、働きがいがある仕事につくことや経済が潤うことは幸福度に大きく影響してきます。

自分にとってつらい仕事に従事することは精神的に苦痛ですし、モチベーションも保てません。働いても賃金が安い環境では疲労ばかりがたまり、生活が充実しません。

仕事がないという意味ではつい後発発展途上国をイメージしてしまいますが、私たちの住む日本でも、残念ながらブラック企業に搾取されながら働いている人もいることでしょう。

こういった苦しみを持つ人を地球上からなくしていくために、このSDGs目標8の達成はこれから非常に重要になってくると思われます。

この目標を達成するためには、まずはひとりひとりが自分にとって充実した仕事に巡り合い、社会に積極的に参加をしていくことが大切になってきます。

これを機に、自分にとってベストな働き方とはどのようなものなのか、考えてみてはいかがでしょうか。

ライター:相澤 かづき

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