SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」 | 現状とその取り組み・私たちにできること

持続可能な社会の実現を目指し、国際社会の目標として2015年のサミットで定められたSDGs(持続可能な開発目標)。全17のゴールと169のターゲットにまとめられています。

今回はその中でも目標11「住み続けられるまちづくり」について概要と、目標にかかわる世界の現状と取り組み、私たちにできることをご紹介していきます。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?

SDGs目標11「住み続けられるまちづくり」とは、衣食住の「住」に焦点を当てたものです。世界ではさまざまな居住環境にかかわる問題が生まれています。簡単に言ってしまえば、これら「住」の問題を解決し、皆がハッピーに暮らせる環境を世界レベルで作っていこうね!ということです。

また「住み続けられる」と頭についている通り、今の私たちが便利で過ごしやすければいいよね…というわけではありません!私たちの子どもや孫の世代まで住みやすい環境のバトンを渡すことが求められます。

SDGs目標11のターゲットを分かりやすく解説!

住み続けられる街づくりを達成するためにSDGsが定める目標は、1~7の到達目標とa~cの具体的な方法が書かれた目標に分けられます。

まず挙げられているのがスラムに関する目標です。スラムとは、貧しい地域で育った人が仕事を求めて都市部に集中することでできる居住地域という意味で、別名「貧民窟」と呼ばれます。日本ではあまりなじみのない言葉ですが、世界では多くの都市部の周辺にこのスラムが存在し、大きな問題になっています。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくり」では、すべての人に安定した居住区を与え快適に過ごしてもらおう!という狙いがあります。

それ以外にも大切なことがあります。いくら便利な生活を得たとしても、それが自然遺産や文化遺産を犠牲にしたり、地球環境を犠牲にするものであってはいけません。SDGs全体の大きな目的はサステナブル、すなわち持続可能性だからです。

ちなみに、SDGs目標11のターゲットは以下の通りです。

ターゲット内容
11.12030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.22030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮 し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.32030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.52030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅 に減らす。
11.62030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.72030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエン ス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定 と実施を行う。
11.c財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

掲載元:11.住み続けられるまちづくりを | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

内容をまとめると、「社会的・肉体的弱者にとって暮らしやすい街づくりをしましょうねー」という表現がしっくりきます。達成には老人や女性、子どもはもちろんのこと、発展途上国に暮らす貧困層に対して安全な暮らしを提供する必要があるということです。

a~cの具体的な手法は少し難しい内容となっています…aは都市部と農村部分のつながりを強化すること、bは地球環境を守りつつ災害に強い暮らしを創ること、cは後発開発途上国の資源を利用して現地に強靭な建物を建てること、と記されています。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」が必要な理由と現状の課題

SDGs目標11「住み続けられるまちづくり」が必要な理由、それは密集した都市部は非常に災害リスクが高く危険だからです。急に災害?と思われるかもしれませんが、都市部の人口密度と災害の関係性はとても濃いものなのです!

現在、世界の人口のうち35億人が都市部に生活をしていると言われています。都市部はインフラも整っているし、水道・電気・ガスなども通っているので当たり前に人が集まってきますよね。けれど、この都市部で壊滅的な自然災害などが起きてインフラが崩壊したらどうなるでしょうか?

答えは「多くの人が住む都市部でインフラ崩壊が起きた場合、多くの人が命の危機に陥いる」です。生命にかかわる大きな問題ですね。

都市部のリスクはそれだけではありません。先ほど述べたスラムの問題もそのひとつです。

都市部に人が増えれば、比例してスラムも巨大化していきます。インフラの整っていないスラムでは、環境への負荷や治安の悪化が懸念されます。当然、住みやすい環境にはなりません。

さらに悪いことに、都市部に人が集まる傾向は今も増加中です。今は世界人口の半分ほどが都市部に暮らしていますが、2030年には約6割が都市部に集中すると言われています。つまり、このままなにもしなれば、より都市部のリスクが増え続けてしまうのです。

住み続けられる街とは

SDGs目標11には「強靭(レジリエント)な都市」という言葉が書かれています。このレジリエントとはどういう意味なのでしょうか?

強靭(レジリエント)な都市とは、別にとてつもなく硬くて強い建物!ということではありません。都市が災害などでダメージを負ってしまってもすぐに復旧ができる強さのことを意味します。

例えば災害で都市部が壊滅的な状況になったとしましょう。壊滅的な状況でもすぐに復旧に向けて行動できる環境が整っていれば、結果的に多くの人を助けることにもつながります。

つまり、レジリエントな街とは災害で倒れない建物が立ち並ぶの街のことではなく、災害にあってもすぐに立ち直るための備えと手段を持った街のことを意味しているということですね。

持続可能な街づくりのために必要なこと

持続可能な街づくりに必要なことはなんでしょうか?それは大きく分けてインフラ・環境への配慮・スラム対策です。

まずインフラの整備。インフラが整備されていないと、人々は不便な生活を余儀なくされます。例えば道路が整備されておらず、渋滞だらけの道路だったとしたらどうでしょう?日々交通事故が起き、大気汚染も深刻です。インフラの整備は持続可能な街づくりには欠かせません。

環境への配慮のない都市開発についても同様です。限りある自然資源を犠牲にした無理な都市開発は、地球環境に深刻な影響を及ぼします。それでは未来の子どもたちにきれいな地球を渡すことができませんよね。環境に負荷のかからない都市開発が必要とされます。

スラム対策は治安に大きくかかわってきます。貧困の差から生じるスラムには、経済的に余裕のない人々が集まります。残念ながら、そういった地域に暮らす人々は犯罪行為に手を染めてしまうケースが少なくありません。スラムを生じさせないために、安価で安心な住居の提供が必要です。

日本におけるSDGs未来都市

限界集落という言葉をご存じでしょうか?限界集落とは、都市部に人口が集中し、地方の人口が減り老人ばかりになってしまい街としての機能がマヒしてしまった街のことです。

この問題を解決するために、日本では現在SDGs未来都市という計画が全国各地で行われています。

例えば、生活のために必要なインフラを都市部に集中させ、交通手段を集約。移動に難のある老人にとっても生活のしやすい環境を整える「コンパクトシティ」といった活動。

ほかにも、一人で暮らすことに不安のある老人を集めて生活できる長屋のようなものを建てるといった地方創生プランが行われています。

いずれも、都市部に人口が集中しない方法で限界集落に「持続可能な街づくり」を実現させた好例ですね。

各国で行われているSDGs目標11への取り組み

SDGs未来都市でも触れましたが、持続可能な街づくりには「周囲の人との関係性」も大切です。助けが必要な時に助けを求められる心と体の距離感があることは、持続可能性に大きく関係するからです。

例えば、イギリスのトッドモーデンという街では、街のいたるところに食べることができる植物を栽培しています。なんとこの植物、だれでも食べてよいのだそうです!とても大胆な取り組みですが、このシステムにより街の住民にはコミュニケーションが生まれ、助け合う風土も生まれるのだそう。

こういったSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」へのユニークな取り組みも世界には存在しているのですね。

日本の企業によるSDGs目標11への取り組み事例

日本の企業ではSDGs目標11に対してどのような取り組みをしているのでしょうか。例に出してみてみましょう。

「株式会社チャウス」のSDGs目標11への取り組み事例

「株式会社チャウス」のSDGs目標11への取り組み事例

photo by バターのいとこ

「バターのいとこ」というお菓子を知っていますか?とても目を引く名前ですよね。

これは栃木県で直売所・カフェ・ゲストハウスを運営するChus(チャウス)が製造・販売しているお菓子の名前です。

株式会社チャウスは、この「バターのいとこ」を通じて地方創生を果たしている企業なのです。

安価に販売されてしまう「無脂肪乳」の価値を高める商品の開発
「バターのいとこ」は無脂肪乳から作られたお菓子です。バターは牛乳から約5%しか採れない貴重なものなのですが、残りの90%がこの無脂肪乳となり、脱脂粉乳として安い値段で販売されています。
バターのいとこは無脂肪乳をジャムとして利用しお菓子として再利用する道を見出しました。これによって、酪農家はバターの製造に取り組みやすくなり、バターのいとこで使用される無脂肪乳が経済効果を生み、雇用にも発展するという好循環が生まれています。
いままで価値の低かった無脂肪乳に新たな価値を生んだ地方創生の好例です。現在ではバターのいとこのノウハウに地元の有機栽培バナナを組み合わせて開発した「90 バナナスムージー」なども販売されています。

社名株式会社チャウス
本社所在地栃木県那須塩原市
事業内容コミュニティ施設運営
公式サイトhttps://chus-nasu.com/

「パソナグループ」のSDGs目標11への取り組み事例

「パソナグループ」のSDGs目標11への取り組み事例

photo by 地方創生(淡路島) | パソナグループ

人材派遣業界の大手であるパソナグループでは、人材業界で培ったノウハウを活かしてユニークで多彩な地方創生プロジェクトを展開しています。

特に同グループ代表ゆかりの地である淡路島では複数の施設を運営し、その内容も様々です。

  • 淡路島に文化、芸術、健康、食、教育など、人が集まる夢のある産業を創造し、淡路島内で多くの雇用を創出
    淡路島において多数の施設を運営し、観光地として価値を高めています。特に、ジャパニーズカルチャーの体験型施設ニジゲンノモリは人気のスポットです。ほかにも複数のカフェやレストラン、体験型施設を運営し、淡路島内の雇用を創出。地方創生を成し遂げています。
  • 地域資源を活かした施設の開設や、様々なイベント開催を通して、淡路島の魅力を島内発信し、観光経済を活性化
    パソナグループが手掛ける淡路島内の地方創生には、島内にもともとある施設を再利用したものも多く含まれます。例えば廃校になった野島小学校を改装し、自然やアート、地域のおいしい料理の発信拠点として再利用した「のじまスコーラ」は他の地方でも参考にできるモデルケースにしてほしいという狙いもある施設です。
社名(商号)株式会社パソナグループ
事業内容人材派遣等
公式サイトhttps://www.pasonagroup.co.jp/
本社所在地東京都千代田区大手町2-6-2

「メゾンカカオ株式会社」のSDGs目標11への取り組み事例

「メゾンカカオ株式会社」のSDGs目標11への取り組み事例

photo by メゾンカカオ MAISON CACAO

コロンビアで出会ったカカオに魅了され、日本でコロンビアのカカオから作ったチョコレートを販売するまでに至ったメゾンカカオ株式会社。コロンビアの良質なカカオから作られた口当たりのいいチョコレートが魅力の同社のSDGs目標11への取り組みを見てみましょう。

  • コロンビアにカカオ農園と、カカオ豆からチョコレートの原料にする生産所を開設
    コロンビアの良質なカカオを獲得するために、コロンビアに自社農園を開設。単にカカオを輸入するのではなく、現地の生産者や企業と協力し、現地の雇用を生みつつ自らカカオを栽培・収獲するという形をとっているそうです。これによって、現地の生活環境の改善にも役立っています。
  • 現地のパートナー企業とともに学校建設プロジェクトを始動。自社農園の近くに学校をつくり、生徒の数が増え規模が拡大するにつれ、子どもの親たちの間で農家をはじめる人が急増
    カカオ農園の運営だけでなく、現地の子どもたちのための学校を地元企業と設立。これにより、学校に通う子どもの親が農園にチャレンジし契約農家の数が増えるという好循環も生まれているようです。カカオを育てることにより、コロンビアの抱える問題の一つである「コカの木栽培」の抑止にもつながり、治安が向上するというメリットもあるのだそう。
社名(商号)メゾンカカオ株式会社
事業内容チョコレートの製造販売
公式サイトhttps://maisoncacao.com/
本社所在地神奈川県鎌倉市小町2丁目6−43

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」に対して私たちができること

SDGs目標11を成し遂げるために私たちができる取り組みは何かあるのでしょうか?

インフラの整備や雇用の創出なんで無理だよ!と思う方もいることでしょう。ですが、SDGs未来都市でも述べたような「周囲の人との関係性」という観点ではいかがでしょうか。意外と私たちにできることがあるかもしれませんよ?

ここではいくつか例を挙げて活動をご紹介させていただきますので、ぜひ参考にしてみてください。

地方移住を検討してみる

都市部の人口増加が根本的な問題ならば、地方に移住してしまえばいいじゃん!という考え方です。とてもシンプルですね。

都市部の忙しく息苦しい生活から抜け出し、地方で人生をやり直したいという若者がいま増えています。特に現在は新型コロナウイルスの影響で在宅ワークも一般的になってきました。別に東京にいなくても仕事ができる時代になったのです。こういった背景から地方へ転出する方は増加傾向にあります。

さらに、人材不足が深刻な地方都市では、若い人材はのどから手が出るほど欲しいため、都市部転出者へのサポートや補助も充実しています。仕事や住居などを斡旋してくれる自治体もあるようですよ。

防災グッズを揃えるなど、災害時に向けて準備をする

都市部に壊滅的な打撃が起きた場合に心配なのはインフラが機能しなくなることで要救助者が孤立することです。そうならないためにインフラ整備などを行うのがSDGs目標11のポイントでもあるのですが、自分で自分の身が守れるよう備えをしておくことも大切です。

災害時を想定して備えておく方法には以下のようなものが挙げられます。

  • 家具などの転倒予防
  • 災害用備蓄の用意
  • 非常用持ち出しバッグの準備
  • 家族間での安否確認方法の再確認
  • 避難場所、避難経路の確認

これらを行っておくことで、ただ救助を待つだけでなく、ある程度は自分で自分の身を守ることができますのでやっておいたほうがベターです。

具体的な準備は以下のリンクより確認してみてください。

参考:首相官邸ホームページ「災害に対するご家庭での備え」

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は国や自治体だけの課題ではない!私たちにできることの積み重ねが大切です

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」について解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。その概要と取り組み、そして私たちにできることについて理解はできましたでしょうか?

災害大国日本に住む私たちにとって、都市部の機能がある日突然シャットダウンするリスクは常につきまとう問題でもあります。国や自治体だけに任せるのはなく、私たちにできることもやっておきましょう。

世界的な視点で見れば、ご紹介したメゾンカカオのチョコレートを購入したり、パーソルの運営する施設に遊びにいくことでもSDGs目標11の達成に参加をすることができます。

ぜひ機会があれば購入・利用をしてみてはいかがでしょうか。

ライター:相澤 かづき

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