
photo by LFCコンポスト
SDGsという言葉がトレンドの昨今、生ごみを“ごみ”として捨てるのではなく、“循環する資源”として再利用できるアイテム「コンポスト」に注目が集まっています。
自宅で気軽に始められるコンポストですが、初めての方に取っては「虫が寄って来そうで怖い…」と不安も多いはず。
そこで今回は初めての人も気軽に始められるコンポスト「LFCコンポスト」を開発・販売するローカルフードサイクリング代表のたいら 由以子さんのインタビューを交えながら、コンポスト初心者の気になる疑問・質問を徹底調査!
マンションでも気軽に&楽しく始められる話題の「LFCコンポスト」に注目です。
コンポストとは「堆肥」のこと – 生ごみを資源に変える生活の知恵

サステナブルなアイテムとして改めて注目されているコンポストですが、その言葉の意味まで知っている人は多くないのでは?
コンポストとは「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器(composter)」のことです。家庭からでる生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を、微生物の働きを活用して発酵・分解させ、昔から伝承されてきた日本の大切な知恵のひとつです。
「LFCコンポスト」公式サイトより
コンポストの概念は、実は昔から生活の知恵として存在していたものだったんですね。最近はおしゃれなコンポスターが増えたことで、グッと身近な存在になりました。
生ごみを削減できるだけではなく、園芸に活用できたり、家庭菜園でおいしい野菜を育てることができたりと、さまざまなメリットがあるのです。
LFCコンポストの開発者 たいら 由以子さんへインタビュー| 微生物と協力して育むコンポストの奥深さ

photo by ローカルフードサイクリング
近年のコンポスト人気の火付け役と言われているのが、福岡県福岡市のローカルフードサイクリング株式会社の代表を務める平 由以子(たいら ゆいこ)さんです。
たいらさんは2020年1月に起業し、わずか3か月で黒字化を達成。代表商品であるペットボトルや廃棄プラスチックの再生素材を100%使用したバッグ型「LFCコンポスト」はおしゃれなデザインが話題に。半年間で4,000個もの売り上げを記録しています。
NPO法人循環生活研究所を立ち上げ、25年間をかけてコンポストの研究を続けているたいらさんに、「LFCコンポスト」への想いと、コンポストとの上手な付き合い方について伺いました!
■お話を伺ったひと
たいら 由以子(たいら ゆいこ)さん

NPO法人循環生活研究所理事、NPO法人日本環境保全ボランティアネットワーク理事、ローカルフードサイクリング株式会社 代表。都市部の家庭で簡単に取り組める「LFCコンポスト」の開発や、地域の有機性廃棄物の堆肥化技術の研究・普及・実践活動を行う。住民の生活圏で「半径2kmでの小さな資源循環システム」を“ローカルフードサイクリング”と称し、実現に向けて奔走中。
食べものが命に直結することを実感。「LFCコンポスト」誕生のきっかけは、余命3ヶ月の父が生きた2年間
LFCコンポスト、とてもおしゃれで使いやすそうですね。商品開発の背景を詳しく教えていただけますか?
たいらさん:LFCコンポストが生まれたきっかけは、私の父の死が大きく関係しています。元々私は結婚後に大阪で暮らしていましたが、父の肝臓がんの発症をきっかけに福岡の実家に戻りました。
余命3ヶ月を宣告されていた父は食養生を取り入れることになったのですが、必要な無農薬野菜の入手が、当時はとても難しかったのですね。福岡市内を2時間車で走っても、低品質な野菜しか手に入らなかったことを覚えています。
それでも自分たちで畑を耕して収穫した野菜や、体に良いと聞いた野菜を食べてもらうことで、父の顔色が少しずつ良くなっていきました。最終的には2年間頑張ってくれた父を見たこと、また当時小さかった自分の娘の将来を考えたことがきっかけです。
自分ゴトとして捉えてほしい。「半径2km圏内」で小さな循環をつくるコンポストづくり

(写真)親子3代でコンポストの普及・実践活動を行うたいらさんご家族
photo by LFCコンポスト
たいらさん:父との経験から、人間は食べものが命であること、そして今の世の中が持続不可能な社会になっていると気づいた私は、さまざまな方策を試しました。
そのなかでも、かつて母に教えてもらった堆肥づくりが、体に良い野菜作りにつながると気づいたことがはじまりでしたね。それを自分たちの生活圏で、移動コストもかからない「半径2km単位で作る」ということを目標にNPO法人を立ち上げ、渡米もして勉強をしました。コンポストづくりは平成17年から始めています。
コンポストが普及したことで、たくさんの講演依頼をいただくようになりました。それ自体はありがたいことですが、年間500本もの依頼をいただくようになり、忙しさに追われるようになったことも事実です。「このままでは本末転倒だ」と思った私は、人材育成に着手しました。講師が増え、普及活動がさかんになったことで、全国には8万人、アジアにもリーダーが生まれ、年間30カ国以上の人がコンポストを習いに来るまでに成長しました。
それでも、人口の9割は生ごみを捨てている現状を知ったときには落胆しましたね。そこで、都会の人でも参画ができるおしゃれでコンパクト、かつ虫の侵入を防ぐ工夫がされたLFCコンポストを開発したのです。
都市圏に住む人たちにとって使いやすいデザインを追求した「LFCコンポスト」

photo by LFCコンポスト
そういった経緯があったのですね。LFCコンポストは機能性だけではなく、見た目もとてもおしゃれで女性からの人気が高いと伺っています。デザインにはどのようなこだわりがあったのでしょうか?
たいらさん:デザインはかなりこだわりましたね。デザイナーさんにいくつかサンプルを作ってもらいつつ、かっこよくて機能性の高いバッグ型コンポストを追究しました。
バッグ型にしたのは、できた堆肥をマルシェに持参して、野菜と交換できるような使い方をイメージしてのことです。マンションやアパートにお住まいの方が多い都市部の家庭では、どうしても堆肥は余ってしまいますから。
今もより使いやすいコンポストにするために、自分たちで使用感を試したり、LFCサポーターホットラインに寄せられた意見を参考にしたりしながら、20回以上改良を重ねています。
ちなみに生地はペットボトルの再生生地を使用しているのですが、環境を考慮してペットボトルは国内のものだけを採用しています。
生ごみは“ゴミ”ではないと気づいた〜「LFCコンポスト」利用者の声〜

photo by LFCコンポスト
LFCコンポストでは、LINEでコンポストに関する不安やお悩み相談を無料で受け付けていますよね。たいらさんの2人の娘さんもコンポストアドバイザーとして携わっていると聞いています。
たいらさん:はい、おっしゃる通りです。LINEでは、AIが返信しているイメージを持たれている方もいますが、LFCコンポストではアドバイザーひとり一人がプロの視点からお答えしています。
それは素晴らしいですね。おそらくLINEなどにはたくさんの反響が寄せられていると思いますが、どういったものがありましたか?
たいらさん:「コロナ禍でおうち時間が増えたことをきっかけに、親子でコンポストを始めた」というお声をいただいています。また、子ども向けに講座も行ったことで、2021年の夏は200人以上の小学生が、自由研究の教材などにコンポストを使ってくれましたね。微生物との出会いや「生ごみはゴミではない」という気づき、また悪臭が減ったなどのお声もありました。
子どもの自由研究にも活用されているんですね。今後はどのような方にLFCコンポストを広めたいと考えていますか?
たいらさん:「コンポストはハードルの高い」と感じている人に、ぜひ体験していただきたいですね。LFCコンポストは誰でも簡単に、1日1分で実践できる仕様にしていますので、使いやすさを感じてもらえると思います。虫が入りにくく、コンパクトで臭いが出にくい仕様なので、虫が苦手という方にもおすすめです。
これからコンポストをはじめる方へ。LFCコンポストの開発者 たいらさんからのアドバイス

photo by LFCコンポスト
これからコンポストを始められる方の中には、虫の発生を心配している人が多いかと思います。そういった方へのアドバイスをお願いします。
たいらさん:虫は人間にとって悪者の印象がありますが、私たちは実際虫がいなければ2か月も生きられません。生物の多様性を人間中心に考えられない今、虫の必要性や役割を理解してもらいつつ、きちんとファスナーを閉めたり、生ごみを早く入れたりする工夫をお伝えしています。
同時に、コンポストを継続できそうにないという人へのアドバイスはありますか?
たいらさん:やはりまずは自分で体験してみることが重要です。LFCコンポストでは、3週間のコンポストチャレンジののちガーデニングまでが楽しめるオールインワンキット「LFCガーデニングキット」をおすすめしています。キット同封の取扱説明書には、虫対策などについても詳しく記載していますので、ぜひお役立てください。
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オールインワンキットであれば、初めての人も気軽に始められそうですね!最後になりますが、コンポスト生活を継続するコツや注意点をお願いします。
たいらさん:コンポストを快適に使うためには、まずコンポスター選びが重要です。LFCコンポストは通気性が良く、バッグ内には消臭材があるため、イヤな臭いの発生はほとんどありません。
貝殻やほぼ栄養がないトウモロコシの皮は混ぜにくいですが、基本的には家から出た生ごみはどんどんコンポストに入れていっても大丈夫です。入れるものを選別すると循環が偏って、循環社会もつくられないと考えています。
もちろん、コンポストはゴミ箱ではありません。微生物が分解しやすいように生ごみは細かく刻む必要があります。カビが発生することもありますが、これは分解菌のひとつなので、取り除く必要はありません。ペットを飼うような感覚で、微生物と協力し合いながら、コンポストを暮らしに取り入れていただけたらと思います。
たいらさんのお話で、コンポストの概念や考え方がガラリと変わりました。まずは無理のない範囲でできることからはじめてみたいと思います。この度は貴重なお話をありがとうございました!
今回ご紹介したアイテム「LFCコンポスト」

photo by LFCコンポスト
商品名 | LFCコンポスト定期便 |
販売元 | ローカルフードサイクリング株式会社 |
価格 | 初回:3,278円(税込) 2回目以降:1,848円(税込) ※公式サイト価格 |
公式サイト | https://lfc-compost.jp |
販売サイト | https://lfc-compost.jp/product |
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