
家に花を飾ると、華やかな雰囲気になって素敵ですよね。しかし、切り花はすぐ枯れてしまうし、鉢植えだと毎日のお世話がたいへん…。
そんな人におすすめなのがプリザーブドフラワーです♪
プリザーブドフラワーって、実は手作りできることをご存じですか?
ここではプリザーブドフラワーに向く花の選び方から、作るときに必要な道具、作り方の手順まで解説します!
ぜひ、お気に入りの花で作ってみてくださいね。
プリザーブドフラワーとは?
プリザーブドフラワーとは、長期間保存できるように加工を施した花のこと。見た目は生花そのものなのに、なんと3~5年ほどの保存が可能です。
切り花の寿命がもって1週間ほどと考えれば、比べものにならないくらいの長期間ですよね♪
ドライフラワーと混同されることもありますが、両者はまったく別物。ドライフラワーは生花を乾燥させて作りますが、プリザーブドフラワーの作り方は特殊な溶液を使って加工します。
プリザーブドフラワーを作る前に知っておきたいこと・事前準備
特殊、加工、溶液といった言葉が並ぶせいか、プリザーブドフラワーの作り方はとても難易度の高いもののように見えますよね。
しかし、知識と道具さえあれば誰でも手作りできるんです★
まずはプリザーブドフラワーを作るための基礎知識を学んでいきましょう。
プリザーブドフラワーにする花の選び方
イキイキとしたプリザーブドフラワーを作るためには、新鮮な花を用意することがなにより大切。
すでに満開の花は、あとはどんどんしおれていってしまうだけ。作業にかかる時間を考慮して、これから満開になる7分咲きくらいの花を選ぶようにしましょう。
まずは花びらと葉にみずみずしさとツヤがあるかをチェック。茎はシャキッとハリがあるものがおすすめ。変色があるもの、切り口が傷んでいるようなものは避けます。
プリザーブドフラワーに向いている花・向いていない花
すべての花がプリザーブドフラワーにできるわけではありません。加工に向いている花の特徴としては、花びらが厚く、散りにくいものです。
一例として、これらの花はプリザーブドフラワー向きといえます。
- カーネーション
- バラ
- チューリップ
- ガーベラ
- アジサイ
- ダリア
- ヒマワリ
反対に花びらが薄いもの、散りやすいものは加工に不向き。向かない花の一例は以下のとおりです。
- 桜
- 梅
- コスモス
- ハイビスカス
- スイートピー
- ユリ
なお、向いている花として挙げたダリアやヒマワリも、大きすぎるものは初心者向きではありません。
プリザーブドフラワーの水あげは?
プリザーブドフラワーを作る前には、水あげという工程が必要です。花にしっかりと水を吸わせ、美しく咲かせるための工程なので忘れずにおこないましょう。
水あげの方法は大きく4種類。それぞれの方法を簡単にまとめました!
- 水切り…茎を水に浸した状態で、ハサミで斜めに切る方法です。茎の切り口の表面積が増え、より多くの水を吸いあげることが可能になります。
- 水折り…水の中で茎を折る方法です。水切りと同様、茎を折ることで表面積を増やします。
- 深水…茎の切り口から10cmほど上まで露出するよう新聞紙でくるみ、その状態でバケツや花瓶に深く張った水へ浸しましょう。水圧が上がることで水をより吸収しやすくなります。
- 湯あげ…花を新聞紙でくるみ、茎の切り口を60~80℃のお湯に20秒ほど浸けます。茎の中に含まれている空気を熱で追い出し、水を吸いやすくする方法です。湯あげ後は、すぐに茎を冷水に浸します。
道具は100均やホームセンターで揃う!
プリザーブドフラワーを手作りするときに必要な道具は以下のとおり。どれも100円均一やホームセンターで手軽に買えるものばかりです。
- ハサミ

花の水あげに茎の長さ調整、不要な葉を切るときなどさまざまな用途で使います。園芸用のものを購入するほうが切れ味の面で安心です。
- ピンセット

花を溶液に浸したり、花びらを整えたりするときに使います。先端が細いものだと繊細な作業が可能です。
- ゴム手袋

複数の薬剤を使用するので、手荒れ防止のために用意しましょう。
- 新聞紙

薬品をこぼして床を汚さないよう、作業のときに敷きます。
- 密閉容器

花を溶液に浸すときに使います。フタをして密閉できるものを購入しましょう。
- アルミホイル

花を浸すときの落としブタに使います。
- トレー

溶液に浸したあとの花を乾燥させるために必要です。
- 網

花を乾燥させるとき、トレーに網を敷いた上に花を乗せると花の型崩れを防ぐことができます。
プリザーブドフラワー作成には欠かせない材料
次は材料の紹介です。あまり馴染みのない薬品もありますが、実はどれも身近なところで購入できるものばかり!
なにに使うか、どこで買えるかをまとめました。
- 消毒用エタノール…プリザーブドフラワーを作るときには、まず花から水分と色を抜く必要があります。この脱水と脱色に使うのがエタノールです。ドラッグストアで購入できます。
- 精製グリセリン…花を生花のような質感に保つために用いる薬品です。グリセリンとインクを混ぜることで、花を好きな色に着色します。こちらも、ドラッグストアで購入可能です。
- インク…万年筆用のインクか、プリンター用のインクを用意します。花を何色にしたいかに合わせて、必要な色を購入しましょう。文房具店、家電量販店などで販売されています。
- 乾燥剤…溶液に浸したあとの花を乾燥させるためにあると便利。ホームセンターやドラッグストア、100円均一などで購入できます。お菓子の袋や容器に入っていた乾燥剤が家にあれば、それを使ってもOKです♪
※プリザーブドフラワーを作る専用液を通販などで購入すれば、これらの材料を用意せずもっと手軽に始めることができます!
お気に入りの花器・花瓶を用意しましょう♪
完成したプリザーブドフラワーは、お気に入りの花器や花瓶に入れて飾りましょう!
和室に飾るなら陶器の花器、高さがあるプリザーブドフラワーなら背の高い花瓶といった具合に、飾る場所や花に合わせて花器を選ぶのも楽しいものです。
花瓶に入れて飾れば、生花を飾るのと同じ感覚でその美しさを楽しむことができます。
できるだけキレイな状態で長持ちさせたいなら、空気に触れないように覆ってしまうのがおすすめ。
フレーム、ドームケース、瓶など花器の形もいろいろあるので、手作りしたプリザーブドフラワーが一番映える花器を探してみてくださいね。
プリザーブドフラワーを作る上での注意点
プリザーブドフラワーは手作りできますが、作る際にはいくつか注意すべきポイントも。
いざ完成してから「うまくできなかった…」「イメージと違った!」とショックを受けないよう、作る前に注意点を押さえておきましょう。
- 向かない花を選ぶと失敗しやすい!…前述したとおり、プリザーブドフラワーには向く花、向かない花があります。向かない花を選んでしまうと、加工途中で花びらが散ったり、完成前にバラバラになってしまうことも。
- イメージどおりの色にならないことも…花選びを誤ったり、溶液に漬ける時間が充分ではなかったりすると、花びらが思った色に染まらないことがあります。手順に沿って、ひとつひとつ丁寧に仕上げることを心がけてください。
- 加工中の花は丁寧に、大切に扱うこと…花はとても繊細です。雑に扱えば花びらが取れたり、破れたりします。加工中は、やりすぎだと思うくらい慎重に扱うことを意識してください。
プリザーブドフラワー・基本の作り方
それでは、プリザーブドフラワーの作り方を見ていきましょう。今回は以下の動画を参考に、具体的な手順を画像とともに解説します!
上記の動画では、材料の項目で軽く触れたプリザーブドフラワー専用液を使っていますので、参考にしてみてくださいね♪
手順1.下準備
スムーズに作業を進めるためには、快適な作業環境づくりが重要です。前述した花の選び方も再度確認しつつ、下準備をしましょう。
花を選ぶ

初めてプリザーブドフラワー作りに挑戦する人は、花選びから慎重におこないましょう。ここでプリザーブドフラワーに向かない花や、新鮮ではない花を選んでしまうのは失敗のもとです!
7分咲きくらいの花を選んだら、茎を2cmほどつけた状態でカットします。このときに茎の切り口がつぶれると次の水あげがうまくいかなくなる可能性があるので、切れ味のいいハサミを使ってくださいね。
水あげをする
茎を水にさし、水あげをします。花に一旦水を吸わせることで、元気に、イキイキとした見た目にするための工程です。
作業場を作る

道具と材料を用意したら、作業する場所に新聞紙を敷きましょう。薬品や溶液をこぼしたときに机や床を汚さないため必要です。
手袋をしたら下準備は完了♪いよいよプリザーブドフラワー作りスタートです!
手順2.脱水
脱水とは、花に含まれる水分を抜く工程です。とはいえただ乾燥させるのではなく、ここでは花をエタノールに浸けます。
花に含まれている水分を、エタノールと入れ替えるイメージです。
容器にエタノールを入れる

フタを閉められる容器にエタノールを注ぎます。(※画像ではプリザーブドフラワー専用液を使っています)
花を沈める

ピンセットで花をつまみ、容器に入れましょう。エタノールに完全に浸したら、優しく花を揺らして花びらの隙間に入り込んでいる空気を抜きます。

花が浮いてくるなら、アルミホイルで落としブタを作って上に乗せ、軽く押し込んでください。
このとき花びらの一部が露出していると、うまく脱水が進まず、仕上がりに悪影響を及ぼす可能性があるので注意です!
しっかり花全体がエタノールに浸かったら、フタをしっかり閉めて3~4日置きましょう。ときどき取り出して確認し、花のガクまで色が抜けていれば脱色完了です。
手順3.着色
花の色が抜けたら、次は着色の工程です。インクさえ用意すれば花を好きな色に染められるので、自然界には存在しない青いバラやチューリップも作ることができます!
着色用の溶液を作る
グリセリンと水を2:1の割合で混ぜ、そこに用意したインクを数滴落として着色用の溶液を作ります。
花を沈める

脱水が済んだ花を溶液の中に沈めましょう。脱水の工程と同じく、花をピンセットでつまんだら全体が溶液の中へ沈むよう押し込みます。
優しく揺らして空気を抜き、沈みきらない場合は同じようにアルミホイルで落としブタをします。
3~4日置けば、花びら1枚1枚にしっかりと色が浸透しているはず!
なお、着色の時間はしっかり守り、焦らないこと。特に大きな花や、花びらが多い花はじっくり浸けるのがキレイに仕上げるコツです。
完成を急ぐあまりに早めに取り出すと、隅々まで溶液が行き渡らず、ムラができてしまうこともあるため要注意です。
手順4.洗浄
全体的にしっかりインクの色が入ったら、一度洗浄します。キレイに洗った容器に新しくエタノールを注ぎ、ピンセットでつまんだ花を入れ、そっと振り洗いをしてください。
これは余分につきすぎた着色用の溶液を落とすための工程です。
溶液が花びらにべったりとついたまま乾燥の工程に進むと、完成したプリザーブドフラワーの花びらの質感がイマイチになることも。
花を並べて乾燥させる際、隣の花と触れた部分から色移りをしてしまう可能性もあります。
洗浄するときのポイントは、ささっと丁寧に!なぜなら、長く浸けてしまうとエタノールの効果でせっかく入れた色が抜けてしまうから。
また、エタノールは洗浄する花の色ごとに取り替えましょう。赤い花も、青い花も同じエタノールで洗うと色移りしてしまう可能性があるので、もったいないと思わずこまめに取り替えてくださいね。
手順5-a.乾燥(自然乾燥の場合)
ここまできたら、あとは花を乾燥させる段階です。まずはオーソドックスかつ安全な方法として、自然乾燥の手順を解説します。

トレーに網を乗せ、その上に花をひとつずつ並べていきましょう。花同士はくっつかないよう、間隔を空けて並べてください。
乾燥の段階で隣の花とくっつくと、色移りする可能性があるほか、うまく乾燥しきらないことも!
トレーを覆えるフタや容器があれば、乾燥剤を入れておくと効率よくスピーディに乾かすことができます。乾燥剤を使わない場合、トレーを直射日光のあたらない風通しのいい場所に置きましょう。
乾燥にかかる期間は、花の大きさや花びらにより差があります。最低でも2日、乾きにくい花を選んでいる場合は1週間ほどかけてじっくり乾かしましょう♪
手順5-b.乾燥(強制乾燥の場合)
強制的に乾燥させる方法もあります。ただし強い風をあてて乾燥させるのは、花びらが欠けたり、散ったりしてしまう原因になることも。
これから紹介する方法は、急いでいるときの最終手段として御覧ください!
ドライヤーを使う
何度も言うようにプリザーブドフラワーはとても繊細なので、強風をあてるのはNG。
ドライヤーを使って乾かす場合は、一番弱い風に設定して、花とドライヤーの距離を空けるようにしましょう。
最後まで乾かしきるのではなく、半乾きくらいでやめるのもポイント。あとは自然乾燥で仕上げてください。
食器乾燥機を使う
網などに並べた状態で、食器乾燥機に入れるのも乾燥の時短テクニック。こちらもドライヤーと同様、途中まで乾いたら取り出し、仕上げは自然乾燥に切り替えること。
いずれの方法も、乾燥の工程を少しでも短く済ませたいときに使えます。しかしリスクもあるため、やるかやらないかはよく考えてくださいね!
プリザーブドフラワーを長持ちさせるコツ
プリザーブドフラワーは3~5年ほどもつと、冒頭で解説しました。しかし、これは丁寧に保存した場合の話です。
プリザーブドフラワーを長く楽しむためのコツをまとめました。
- 直射日光のあたらない場所に飾る…日光にあたり続けると、花びらが色あせたりひび割れたりする原因に。窓の前や、日当たりのいいところに飾るのは避けるのが安全です。
- 高温多湿にならないようにする…プリザーブドフラワーは高温多湿が苦手!温度は18~25℃、湿度は30~50%ほどに保つのが長期間美しさを保つ条件になります。キッチンや脱衣所など水回りに飾るのは避け、いつも適温を保てる室内に置いてあげましょう。
- 傷んだときは即座に処置…花びらが透けてきたら、湿度が高すぎたサイン!乾燥剤と一緒に密閉できる容器へ入れて、乾燥させます。また、花びらがひび割れたらハサミで整えてあげましょう。
適した場所に飾り、必要であれば手を加えながら、1日でも長く美しさを保ってあげてくださいね♪
プリザーブドフラワーの作り方は、手順を覚えれば簡単で楽しい♪
花屋でキレイな花を見た、記念日に花束をもらったなど、ふとしたきっかけで家に花を飾ることになった経験はあるのでは?
しかし、切り花の寿命は短いもの。好きな花、思い出の花を少しでも長く飾りたいなと思ったら、ぜひプリザーブドフラワー作りに挑戦してみましょう!
身近なところで購入できる道具、材料があればすぐ始められます。
おうち時間を持て余しているなら、作り方を知って新たな趣味として始めてみてもよさそうですね♪